あの頃の誰か
● おすすめ度 ★★★★☆
● 熱中度 ★★★★☆
● ためになる ★★★☆☆
東野圭吾さんの短編集
バブルの時代に書かれたいくつかの短編ですが、
諸事情により、掲載されずいた作品たち。
東野圭吾さんいわく、「わけあり物件」 を読んでみませんか?
おススメするポイント
● 粗削りながらどの短編もおもしろい
今の東野圭吾作品と比べるのは酷か?
同じ作家とは思えないほどの粗削り感。でも、おもしろい!
● 短編なので読みやすい
ササッと読める。
● 東野圭吾の歴史が分かる
今を時めく 「東野圭吾」 でもこんな時代を経て、
今があるのかと思い知らされる。
まとめ
東野圭吾さんといえば、非常に売れている人気作家。
知らない人はいないというほど、まさに日本を代表する作家さん。
そのおもしろさも定評もあり、
「普段は本を読まないけど、東野圭吾は別」
と、手に取る方も多いとか。私も大好きな作家さんです。
そんな東野圭吾さんも当然ながら若い時期があり、
その頃から今の完成度の高い腕があったかといえばそうではない。
若いころから、小説家として腕を磨き続けてきており、今がある。
(果たして若いころの作品は、今くらいおもしろいのだろうか?)
そんな疑問から本書を手に取りました。
結果として、
「作家としての成長が著しい方だったんだなぁ」 という答えでした。
1. 今と比較すると粗削りさが出ていることが分かる
2. 小説としての奥行きが浅い
3. 今の「東野圭吾」を感じることができる
1. 今と比較すると粗削りさが出ていることが分かる
本書が20年前ほどの作品たちであるから仕方ない。それにしても、
粗削り感が半端ない。今の東野圭吾作品のような洗練されていない。
作品がおもしろくないわけではない。おもしろいのだが、今の東野圭吾ならば、
もっとおもしろくなったであろうことは明白だ。つまり、石ころではなく、
ダイヤの原石であり、まだ磨かれてダイヤになっていないと言えば分りやすいか?
2. 小説としての奥行きが浅い
ストーリーにしても、人物描写にしてもまだまだ浅いといったところ。
この辺は、作家としての若さが出ている。
3. 今の「東野圭吾」を感じることができる
先に挙げた 「粗削り」 「浅い」 など作家としての若さを感じる一方、
同時に 「東野圭吾らしさ」 は作品から感じることができる。
ストーリー展開などは顕著で、
(東野圭吾作品らしいなぁ) と読みながら感じました。
★ ★ ★
今の東野圭吾作品の素晴らしさは、こうした若い時期の作品の上に成り立っている、
そんな歴史を感じる一冊になりました。
東野圭吾ファンの方ならば、読んで損はない。歴史を感じてみてはいかがでしょうか?

バブルの香りがプンプンする短編