パラレルワールド・ラブストーリー
● おすすめ度 ★★★★★
● 熱中度 ★★★★★
● ためになる ★★☆☆☆
研究所に勤める 敦賀崇史と三輪智彦は、昔からの親友だ。
そんなある日、崇史の元に、智彦から 「恋人を紹介したい」 という話がきた。
智彦から紹介を受けたその女性は、なんと崇史が以前に一目ぼれした女性 麻由子だった。
親友との友情、親友と結ばれる麻由子を奪われる嫉妬 板挟みに苦しむ 崇史。
そんなある日、目覚めてみると、親友の恋人 麻由子が崇史の恋人という
「別の」 世界に迷い込む。
麻由子が崇史の恋人という世界 と 麻由子が智彦の恋人という世界。
2つの世界どちらが真実なのか?
真相を追求する崇史の前に、意外な真実が目の前に現れる・・・
パラレルワールドを股にかけた、ラブストーリーの開幕
おススメするポイント
●展開が早い
テンポが早くて、読者の興味を最後までもっていく。
本作では、中盤でマンネリ、だれるということもありません。
●記憶
に関する という理系でなくてもなじみあるお話。
よくある 「記憶喪失」 というのではないが、比較的なじみのある設定で、
理系色が前面にというものではない。理系は苦手という方でも安心して読めます。
●ミステリー
ラブストーリーとタイトルに含みますが、ミステリー色が強い。
ラブストーリーを希望される方は、避けた方がよいかも。
ミステリーを読みたい方はおススメ。特に東野圭吾作品らしい作品です。
まとめ
タイトル 「ラブストーリー」 とあり、長くスルーしてきた本作。
ただ、「パラレルワールド」というところは気になっていました。
ようやく本作を手に取る機会が訪れました。
読んでみると、タイトルからの印象とは大違い。
まさに東野圭吾作品らしい作品というものでした。
「ラブストーリーというファンタジーではなく、理系寄りのミステリー」 という結論。
・ 人間の記憶回路などの説明が多いこと
・ 舞台、登場人物の多くが、とある研究所が舞台であること
・ 男女の甘いラブストーリーでなく、崇史の嫉妬のお話が多いこと
・ 人間の記憶回路などの説明が多いこと
理系出身の東野さんらしく丁寧な説明。ただ、理系でない私には、
よく分からない箇所もある。理系前面押しは初期のガリレオシリーズに似ている。
その辺の説明がよく分からなくても、物語のおもしろさは損ないません。
・ 舞台、登場人物の多くが、とある研究所が舞台であること
理系色の強さは、メインの登場人物 崇史、智彦、麻由子が研究所の人間であること。
お話も研究所で繰り広げられるからかもしれません。
・ 男女の甘いラブストーリーでなく、崇史の嫉妬のお話が多いこと
主人公 崇史の目線で語られることが多く、
親友との友情、好きな女性に対する嫉妬 で板挟みになる心理描写は、
さすが東野圭吾といったところ。うまく描かれています。
東野圭吾がラブストーリー? と私のように敬遠されていた方、
ご安心ください、本作は完全な 「東野圭吾ワールド」 です。
甘ったるいラブストーリーではありませんでした。
理系とミステリー、人物の上手な心理描写・・・
まさに「東野圭吾」らしい作品です。次が気になり一気に読めます。

チンパンジーを使う動物実験をする場面があります