重力ピエロ

かぶかぶ

2016年06月22日 08:55

 仙台で起きる連続放火事件。主人公 泉水(いずみ)の弟である 春(はる)は、現場で


偶然、奇妙なものを見つける。現場に必ず残される謎のグラフィクアートだ。


それは、まるで次の放火場所を暗示しているような絵だったのだ。


事件に興味を持った 泉水 春 の兄弟は事件の真相を探り出す。


見え隠れする遺伝子の影 辿り着いた真相とは・・・




おススメするポイント

●犯人探しがおもしろい
 
 読者も一緒に考えることができます。


勘の良い方なら読みながら気づくのでは?


イケメンの弟が、放火犯なのか?違うのか?


読みながらあなたも考えてみてください。



●古いような新しいようなスタイル
 
 本作は、要は、放火犯を探す話なのです。


でも、それをうまくアレンジしています。飽きさせないし、


新しさを感じさせるその腕は見事。



●引用がおもしろい

 作中、いくつか引用がでてくる。ネアンデルタール人の話とかがそう。


真偽のほどは分からないが、話としておもしい。興味がある人は、


本作を読んでから調べてみてはいかが?


(私は、ネットでwikiを読んでみました)




まとめ

 伊坂幸太郎さんといえば、おもしろい作品を世に送り出し、


人気作家の一人だ。私も、いくつか読んでいるが、寝不足にさせられる


作家さんの一人だ。おもしろい作品を読みたいときは、伊坂作品から


探すことが多い。伊坂作品 = おもしろい はその人気がまさに証明している。


 
 
 
 本作 「重力ピエロ」 は、比較的伊坂作品でも初期? 古い作品だ。


今の伊坂作品がおもしろいのは、よく知っている。


(昔の伊坂作品は、やっぱり今と同じでおもしろいのか?)


(作家としての成長を昔の作品で見てみたい)


そんな思いから、本書を手に取りました。



結果としては、


「今も昔も相変わらず、伊坂幸太郎作品はおもしろい」 ということです。



 1. 設定、ストーリーがおもしろい

 
 2. 粗削りながら「らしさ」がでている

 
 3. 普通のようでキラリと光る新感覚





1. 設定、ストーリーがおもしろい

 詳細は読んでからのお楽しみ。今も昔も相変わらずおもしろい。


独特の伊坂ワールドがある。この辺は伊坂さんでしか書けない作品だ。


そして、読者を伊坂ワールドに引き込んで離さない魅力がある。


 
2. 粗削りながら「らしさ」がでている

 今と比べると、多少粗削りなところはある。だが、言うほど目立たない。


今の伊坂さんなら、


(ここは、こう描いたんじゃないかなぁ)


というシーンはいくつか感じた。


 だからといって作品の質が落ちるとかという話ではない。


おもしろさは変わらないから気にしなくてもよいかも。



 
3. 普通のようでキラリと光る新感覚

 これは、私も上手に説明できない。ただ、読み終わって一番感じたのはこれ。


全体としてはオーソドックス。でも随所随所に散りばめられた新感覚の何かが、


読者に「新しさ」を訴えかける。


その正体は、読んでみてください。あなた自身が見つけてみてください。



★   ★   ★   ★   ★   ★


  
 おもしろいストーリーが読みたいときは、伊坂作品。


人物が描けていないなど批判もあるのは確かだ。少なくとも、


私はおもしろいと感じるので、おススメします。









● おすすめ度 ★★★★☆

● 熱中度 ★★★★☆

● ためになる ★★★☆☆





重力ピエロ とは一体なんのことか?




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